まわる寿司

食べるのが早い。女の子と食事をするときはギョッとされないようゆっくりゆっくり食べるので食べた気がしないことが多い。でも注文を決めるのは遅い。選ぶ決める食べるでひと括りならふつうだ。
さて、ひさしぶりにまわるお寿司を食べに行こうかなとおもった。夜更けまで寿司屋のウェブサイトでメニューを眺め、あれこれと検討し、だいたいいつものネタに落ち着くやつをやった。大して食べられないし、なんでも旨いというわけではないのだ。師走に入るまえに行けるといいなとメモを清書した。だってこんなもん秒で忘れるし、電力を過信してはいけない。もちろんメモそのものを忘れることはあります。そして翌日、買いもの帰りに老婆に道を尋ねられた。なんとくだんの寿司屋への道をである。わたしは内心興奮し、途中までの案内をかってでた。とっておきの近道を行きながら、その狭さと薄暗さと水のにおいの醸し出す事件性にわれにかえった。こんなとこ、知らんひとと、おばあちゃん、恐いよねと。わたしも、後ろから飛びかかられたらわからない。背中のうえでずんずん重くなってくとか、そのようなことはもちろんなく、あとは道なりにまっすぐというところでお別れしました。ちゃんと着いたかな。お気に召すといいね。