ゴールデン

というわけでだいすきな映画『ゴールデン・リバー』*1の原作小説『シスターズ・ブラザーズ』(パトリック・デウィット/茂木健 訳)を読みました。ちょとハックルベリーをほうふつ。1851年のアメリカのおはなしなので当たらずとも遠からず、もはや少年ではないハックかな。まったくおとなになってはいませんが。サム・チザム*2ならもうちょっと丸く納めたとおもう。
読みすすめるなかで〈光の川〉ということばに出くわし、邦題はこれを引用したのかと原書にあたりました。が、そのまま、"River of Light"と呼んでいて、金じゃないんだなあって。そしてそのほうが見つけるのが難しい"友達"っぽいなとおもいました。ご近所の池を"The Lake of Shining Waters"と名付けるタイプ。なんかちょっと違ってるのね。そんなかれらにおもいをはせながらビーバーの輝きに目をとめて共感を抱くイーライ。しあわせになってほしい。*3

でっぷり太った無数のビーバーが、濡れた体を月の光でぬめぬめと輝かせながら、忙しそうに働いていた。かれらは潜水と浮上をくり返し、低い唸り声をあげた。ビーバーの言葉で励ましあっているのでなければ、つらい仕事に愚痴をこぼしているのだろう。

※本書、ビーバー好きは読まないほうがいいです。

 

*1:"The Sisters Brothers"(2018年)ジャック・オーディアール監督

*2:マグニフィセント・セブン』(2016年)の主人公。かこいい。こちらが1879年ごろのおはしだそうなので、イーライが足を洗おうとも暴力の時代は続くということです。

*3:チャーリーはどうとでもなる気がする。なんだかんだ長生きしそう。