富豪探偵

男性が女性にストッキングをプレゼントするのはいかがなものかという話題にポアロを思い出しました。*1

「あの贈りものをもらう人って、どんな人かしら?あのおじいちゃん、きっといやらしいのよ。ねえ、そうよ、その女だって、適当にうまくおじいちゃんと調子合わせているのね。でも三十七シリング・六ペンスの靴下だって!」
アガサ・クリスティー『ひらいたトランプ』加島祥造 訳より
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下着だからというよりも高額商品であることに尋常ならざる思惑を邪推しているニュアンスです。"いやらしい"と確信される価格って、"三十七シリング・六ペンス"って、なんぼなん?
発行1936年。大英百科事典の写書が週4ポンドのころから世紀をまたぎ、世界恐慌の後。ブロック経済だっけ? "フランスものになりますと、税が入って値がはるんでございます"って、そういうことかな。もたもたとググッていたらやはりポアロのTVドラマの解説がヒットしました。

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1930年代半ばの5ポンドを現在の日本の貨幣価値に置き換えると、大雑把に計算して5万円強といったところ

この"現在"が何年だかはとりあえず置いておいて、えー、1ポンドが10,000円の、1ポンドは20シリングだから1ポンド17シリングで、18,000円くらい?ストッキングが??いや、19で割る?と1,000円とか?ふつう。じゃあ、にまんか。まじでか。計、さんじゅうはちまん?!??
これはもう計算間違いだなとおもいました。ありえない。
ところがこちらが信用筋による算出結果です。

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いっしゅん、あら、お値打ち~!?!?と、おもったよね…
ともあれ容疑者のプレイスタイルから推察される性格や状況を鑑みるとかなり手堅い勝負札だったといえましょう。ヘイスティングズ大尉に単調呼ばわりされるわけです。ところでハロッズをのぞいてみたらベルギー製のタイツが160ポンドで売られていました。カシミアシルク。履く炬燵みたいなかんじかしら。

*1:勤めていた雑貨店にそのような客があったというおはなしで、わたしのばあいは書店だったなとも。男性客からエロ本売り場への案内を請われたり、おすすめやら意見を求められたり、お取り寄せのご依頼も。ぜんぶ店長にふるよう指示されていたし、じっさい、少々お待ちくださいつって店長を呼びに行くあいだに消えた。