びっくりドンキー

『イニシェリン島の精霊』*1を観ました。ここここわ~;;でした。だってパードリック、まるでストーカーなのです。めちゃ執拗。パブの亭主がいうことには「コルムは考えるひとだがパードリックは違う」そうで、かれがなにを“考えない”って、じぶんのことしか考えないのね。親友を失う我が身を憐れみまくっても、音楽家が指を失うことには頓着しない。家のなかを散らかすロバを溺愛しながら、その糞を掃除する妹の門出には暴言をはく。ふつうにちょっとあれなひとを、その望みのささやかさをして「いいひと」って*2。いや、下がり眉のことか。八眉。故事成語っぽい。

ほどよい島♡ *3

*1:"The Banshees of Inisherin" マーティン・マクドナー監督脚本。海のむこうから“内戦”の聞こえてくる小さな島に暮らす男のアコースティカルホラー。いったいどうして本作をハートウォーミンフレンドシップストーリーとおもっていたのか。なにが恐いって、おもしろ可笑しいことです。じんるい、火を扱えるってだけのどうぶつにすぎない。世界人権宣言まであと四半世紀…!

*2:やっぱりナメらてなくはないんだろな。けれどたとえばコルムが女性で、友情ではなく恋の終わりを告げたならコミュニティぜんたいがパードリックに加勢したよね。あいつイイヤツじゃん!退屈って、何様~?勘違いしちゃってさあ!なんてね。いや、まじで。なのでドミニクは立派だったし、だからシボーンは励まされたのだとおもう。

*3:THE BEATNIKS「ほどよい大きさの漁師の島」(2018)より。ほどよい、ほろ酔いと掛けてるのかナ。