貧乏ロミオと金持ちジュリエット

『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』*1を観ました。他人の権利を侵害し、財産を盗みとる悪党たちの長い長いおはなし且つオセージ族にしてみれば超ダイジェスト版迫害史。すごかった。特権意識と被害妄想とで暴力を正当化することのグロテスクがたんねんに描かれていました。政略結婚による簒奪は古今東西まいきょにいとまがないぶん結果オーライだってなくはありません。いまちょっとぜんぜん思い出せませんが、確率てきになくはないよね。なのでモリーとアーネストは邪智暴虐のキングを除くなどしてそれなりにしあわせになれるのではと延べ 3分くらいは期待したものです。

Killers of the Flower Moonより。モリーから笑顔を引き出すアーネスト。このくだりはデカプリオのアドリブですって。
マリア像のごたる

裁判のあとでモリーがアーネストに会ったのは、とどめを刺すためかなあとおもった。勇敢で辛抱強いひとの愛はしぶといから。アーネスト、あんなにも絶望されたこと、あったかしら。呆れられたりはしょっちゅうだったよね。ヘイルの目配せがいまいち飲み込めなかったり、モリーの求めに応じて黙っていられたり、ささやかな可能性はまじささやかで、子供がみんな娘だったら証言しなかったかもしれない。

Killers of the Flower Moonより。嵐の音を聞くふたり
そとは嵐、おめめは青空

居留地とか後見人制度とか、悪知恵じゃんね。新参者がその土地に暮らすみなさんとの共存共栄を望まないなら侵略者でしょう。けれどその大半は、生まれ育った土地に留まれなかったひとたちでもある。この不幸の連鎖を止めないどころか利用する、弱者の居場所を奪い、その弱者を武器に侵攻するひとたちがいる。お金もうけのために。いまもやってる。ばーか。
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*1:“Killers of the Flower Moon”(2023年 マーティン・スコセッシ監督、エリック・ロス&スコセッシ脚本)いちもくりょうぜんデ・ニーロがわるい。。あと、デカプー、モブとまではいわないけれど、ふつう?てなるリアル。輪郭までぼやけていた。そしてリリー・グラッドストーンの威厳よ。立派だった。お仕えしたい。ときどき風やら雲やらに見とれながら洗濯物を踏みましょう。