やりがい搾取

色鉛筆は子供のころから苦手な画材だ。従姉妹と塗り絵に興じても、あまりの下手さに大いに呆れられたものだ。だって、ただ塗るだけなのにって。おもえば従姉妹には、じぶんにできることは他人にもできるという断固とした自信のなさがあった。しかしやたらめんどうみがよく、やがて教職に就き、いまや校長にまでのぼりつめた彼女が教えてくれた塗り絵のコツは「ただ塗るだけ」なんかじゃなかったし、いまも途方もなくかんじられる。じっさい芯に対して紙が広すぎる。わたしが鬼なら賽の河原に小石のかわりに色鉛筆が並べておく。全色ちびるまで塗ったり描いたりっていうミッション。ミッション?

2016年の夏のころには新種目にねこ投げはどうだろうなどと夢見ていた。もはや許しません。