むかしむかし試験の、英語やら古文やら漢詩やらの訳しましょうもんだいで、「△」をもらいがちだった。大意は合っているとのことで、配点の半分から七割くらいをちょうだいしていた。なんならオール△を達成したりもした。意味なんて、だいたいでじゅうぶんだなあとおもったし、あるとき先生にもそのように申しあげた。先生は驚き、あの△は、あとは単語の暗記をがんばるだけだからがんばれだよという意味だといった。そのようにして△はわたしの答案用紙から消え去り、悲しかったなあと、ふとおもいだしたのでした。

ファン・ジョンウン『年年歳歳

おもしろかった小説。きれいな本です。装幀:水戸部功。わからいでか。帯ごとよかったけれど、ないほうがもっとすき。